竹田 啓介
Keisuke Takeda
湘南美容クリニック 横浜院
【目的】
脂肪吸引における合併症として貧血は重要である。今回、我々は脂肪吸引における周術期パラメータと貧血の相関性について後方視的に調査した。
【方法・対象】
2017 年 5 月から 2017 年 9 月において当院にて脂肪吸引を行なった男女 50 名(男性 1 名、女性 49 名)に対して、脂肪吸引の部位、術前 BMI、手術時間、脂肪採取量および術前後の血中ヘモグロビン値(Hb)およびその変化量を調査した。手術部位別において Hb 減少を手術時間で除し 1000 倍した係数 R(Hb)を算出し比較した。手術前後における脂肪採取量、術前 BMI、手術時間と Hb 減少量においてそれぞれ相関性を検討した。
【結果】
男性1名、女性49名、平均年齢37.4歳(20-60歳)であった。腹部18例、腹部+上腕3例、大腿12例、下半身 7 例、上腕 7 例、下腿 1 例、上背部 2 例であった。術前平均 Hb は 13.3(標準偏差 1.0)に対して術後 Hb11.4(標準偏差 1.4)と優位に Hb の減少を認めた(p0.001, t 検定)。R(Hb)は、腹部および大腿を含む下半身の脂肪吸引において、それぞれ 20 以上と高値を示した。脂肪採取量と Hb 減少量は優位に相関性を認めた(R2=0.88)。一方、術前 BMI および手術時間と Hb 減少量に対して優位な相関を認めなかった。
【考察】
腹部および大腿部を含む脂肪吸引では手術時間に関わらず、脂肪採取量が多くなるため Hb の減少量が優位に高値となった。脂肪吸引における Hb への影響は脂肪吸引量に純粋に影響することが示唆された。